この記事はこんな方におすすめ

・老後資金の準備方法を知りたい
・どの方法で老後資金を積み立てるべきか迷っている
・そもそも老後資金を貯めるべきかどうか知りたい

老後生活におけるお金の不安を解消するためには、ご自身で老後資金を準備する必要があります。特にフリーランスは、会社員と比較して老後に受給できる年金が少ない傾向にあるため、積極的に老後資金を準備することが大切です。

本記事を読んでいただくと、フリーランスが利用できる老後資金の準備方法やそれぞれのメリット、デメリットがわかります。

自営業やフリーランスは積極的に老後資金の準備が必要

「老後生活30年間で約2,000万円が不足する」というニュースが話題になりましたが、フリーランスの場合、準備が必要な老後資金は2,000万円では済まないかもしれません。

そもそも、自分自身で準備する必要がある老後資金額は、家族構成や老後のライフプランに応じて異なります。また老後2,000万円問題の発端となった金融庁の報告書は、老後の不足額の算出に、世帯主が厚生年金に加入している世帯が多数含まれています。

厚生年金に加入する会社員や公務員は、受給要件を満たすと「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の受給が可能です。しかしフリーランスは、原則として国民年金のみに加入しているため、老齢基礎年金しか受給できません。

令和3年度における老齢基礎年金の受給額は、月額で最大65,075円であり、夫婦2人の場合約13万円です。一方、厚生年金に加入する夫婦2人分の標準的な年金額は、月額220,496円と大きな差があります。
※出典:日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」

総務省の調査によると、65歳以上の夫婦世帯の生活費は、平均で約22.5万円です。
※出典:総務省「家計調査報告家計収支編 2020年(令和2年)平均結果の概要」

フリーランスが国の年金のみで生活していくのは、困難である可能性が高いといえます。

老後も働いて収入を得るのも選択肢の1つですが、いつまでも働けるかは分かりません。老後も働くつもりであったとしても、年金の受給額が少ない傾向にあるフリーランスは、以下5つの制度を活用して老後資金を準備すると良いでしょう。

  • iDeCo
  • 小規模企業共済
  • 付加年金
  • 国民年金基金
  • 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)

上記の制度は、掛金の全額が所得控除の対象(または損金への算入が可能)です。支払った掛金と同じ金額が、所得税や住民税(または法人税)の計算対象となる所得から差し引かれるため、税負担を軽減できる可能性があります。

1.iDeCo

iDeCoとは、掛金を投資信託や保険商品、定期預金などで運用して老後の年金を積み立てる制度です。iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に老齢給付金として年金または一時金で受け取れます。

iDeCoの主なメリット

iDeCoは、運用している金融商品で利益が出れば出るほどに、老後に受給できる年金や一時金が増えます。運用益や利息に対しては、本来20.315%の税金が課せられますが、iDeCoの場合は非課税です。

またiDeCoは、老齢給付金を年金と一時金のどちらで受け取っても、所得税や住民税の負担が高額とならないように税の優遇制度が適用されます。

iDeCoの主なデメリット

選択した金融商品の運用成果がふるわなかった場合、iDeCoの老齢給付金額が支払った掛金総額を下回って元本割れとなる恐れがあります。

加えてiDeCoは、基本的に中途脱退ができないため、60歳になるまで積み立てた資産を現金化できません。

2.小規模企業共済

小規模企業共済とは、自営業やフリーランスが退職金の代わりとなる共済金を積み立てられる制度です。

小規模企業共済の主なメリット

小規模企業共済は、共済金の受取方法を一括受取または分割受取、あるいはその両方を選択できます。また共済金は、退職時だけでなく廃業時も受け取りが可能です。

支払った掛金の範囲内で、低金利の貸付が利用できるのも小規模企業共済のメリットです。貸付を利用すると、経営が苦しくなったときに小規模企業共済を解約することなく運転資金を確保できます。

小規模企業共済の主なデメリット

小規模企業共済に加入した後に、自らの意思で解約(任意解約)すると解約手当金を受け取れます。ただし加入期間12か月未満で解約すると、解約手当金は受け取れません。

また加入から240ヶ月(20年)未満で任意解約した場合、戻ってくる解約手当金額が支払った掛金合計額を下回って元本割れします。

3.付加年金

付加年金は、国民年金保険料に400円をプラスすることで、老齢基礎年金に 「200円×付加保険料納付月数(年額)」が、一生涯にわたって上乗せされる制度です。ただし、国民年金保険料を減免や免除している方は付加年金を利用できません。

付加年金の主なメリット

付加年金は、老齢基礎年金を2年以上受給すると元を取れるといわれています。

例えば、付加年金に20年間加入する場合、支払う付加保険料は「400円×12ヵ月×20年=96,000円」です。付加年金額は「200円×12ヵ月×20年=48,000円(年額)」となり、老齢基礎年金を2年超受給すると、上乗せ額が支払った保険料を上回ります。

また老齢基礎年金を繰下げ受給すると、付加年金額にも増加率が適用されます。繰下げ受給とは、本来であれば65歳である老齢年金の受給開始年齢を、66〜70歳に遅らせることです。年金の受給開始を1か月繰下げるごとに、老齢基礎年金と付加年金が0.7%ずつ増えていきます。(最大42%)

付加年金の主なデメリット

老齢基礎年金を受給する前に亡くなっても、支払った付加保険料は返還されません。また繰上げ受給を選択すると、付加年金額が減額されてしまいます。

繰上げ受給とは、老齢基礎年金の受給開始年齢を65歳より前にすることです。繰下げ受給を選択すると、老齢基礎年金と付加年金が「繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数×0.5%(最大30%)」減額されます。

4.国民年金基金

国民年金基金は、厚生年金に加入できない自営業やフリーランスを対象にした国民年金の上乗せ制度です。支払う掛金は、加入する人の年齢や加入口数、受給する年金の種類に応じて決まります。

国民年金基金の主なメリット

国民年金基金は、一生涯にわたって受給できる「終身年金」を選択できるため、長い老後生活において途中でお金を使い切る心配がありません。また必要に応じて、受取が一定期間である確定年金も選択できます。

また途中で口数を変更しない限り、老後に受給できる年金の額や支払う掛金額は一定です。

国民年金基金の主なデメリット

国民年金基金は、加入後に掛金の支払いが厳しくなっても、途中で脱退して現金化できません。

またインフレに弱い点も、国民年金基金のデメリットです。インフレとは、物価が継続的に上昇する状態です。物価が上がると、結果として貨幣の価値が下がるため、国民年金基金から支給される年金の価値が目減りする恐れがあります。つまり、支給額に変動はないものの、お金の価値が下がることで、実質的に受け取れる年金額が下がる可能性があるのです。

5.経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)

経営セーフティ共済とは、取引先が倒産した場合に、自社が連鎖して倒産したり経営難に陥ったりするのを防ぐための制度です。取引先が、法的整理や取引停止処分などに該当した場合、払い込んだ掛金総額の10倍(最高8,000万円)まで借り入れできます。

経営セーフティ共済の主なメリット

経営セーフティ共済は、倒産した事業者との取引が確認でき次第、すぐに共済金を借り入れることができます。担保を準備したり、保証人を立てたりする必要はありません。

また経営セーフティ共済に40か月以上加入していれば、解約時に払った掛金の100%が解約手当金として支払われます。緊急時の資金需要に備えながら、資金を積み立てられる点が経営セーフティ共済のメリットです。

経営セーフティ共済の主なデメリット

事業を開始して1年未満の方は、経営セーフティ共済に加入できません。

加えて経営セーフティ共済を解約したときに、解約手当金を受け取るためには、掛金を12か月以上納める必要があります。

まとめ:制度を活用して老後資金の準備を始めましょう

今回ご紹介した制度は、いずれも掛金が全額所得控除(または損金に算入が可能)であるため、所得税や住民税などを節税しながら老後資金の積み立てが可能です。仕組みや違いを理解したうえで、ご自身の考えやライフスタイルに合わせた制度を選び、老後資金を準備しましょう。