2021.04.04
スキママネジメント運営部
・そもそも公的医療保険が何かわからない
・加入できる健康保険の種類(国民健康保険、任意継続など)の違いが分からない
・保障内容が自営業とサラリーマンで、どのように違うのかわからない
・自営業やフリーランスが、会社員と同じように社会保険に入る方法を知りたい
目次
日本国民は、職業や年齢にかかわらず
原則として全員が「公的医療保険」に加入します。
公的医療保険には複数の種類があり、
個人事業主と会社員では、
受けられる給付や保険料の計算方法が異なります。
また自営業やフリーランスが加入できるのは、
国民健康保険(国保)だけではありません。
ご自身にとって、
もっともメリットが多い公的医療保険を選ぶことで、
国保に加入するよりも、保険料を抑えられたり
手厚い保障を受けられたりする可能性があります。
本記事では、
自営業やフリーランスが選択できる公的医療保険について、
わかりやすく解説します。
日本では、
国民が安全かつ安心に暮らせるように
「国民皆保険制度」を採用しています。
国民皆保険制度とは、
日本国民のすべてが公的医療保険に加入して、
お互いの医療費を支え合う仕組みです。
そのため日本国民は、
誰もが何らかの公的な医療保険に加入して
健康保険証を持っており、
高度な医療を低い自己負担で受けられるのです。
あなたも風邪をひいて、
病院を受診した経験があるはずです。
診察を受けるとき、支払い窓口に健康保険証を提示しませんでしたか?
実は、医療機関に健康保険証を提示することで、
自己負担する医療費が、本来の3割で済んでいるのです。
※年齢や収入によって、自己負担する割合が1割や2割となる場合があります。
また高額な医療費負担が発生した場合は
「高額療養費制度」を利用して、自己負担額をさらに軽減できます。
高額療養費制度を利用すると、
1ヵ月(同じ月の1日~末日)で自己負担した医療費のうち、
所定の上限額を超過した金額が払い戻されるためです。
海外では、
国民の全員を対象とした公的医療保険がなく、
入院や手術をすると、数百万円の医療費を自己負担しなければならないケースがあります。
公的医療保険制度によって、
低い医療費負担で高度な医療を受けられるのは、
日本国民の特権であると言っても過言ではありません。
公的医療保険には、
大きく分けて以下の3種類があります。
ちなみに会社員が加入する
健康保険と、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などを
まとめて「社会保険」といいます。
では、会社員が加入する健康保険と、
自営業やフリーランスが加入する国民健康保険は何が違うのでしょうか?
ここでは、国民健康保険が健康保険と違うポイントを解説します。
健康保険は、
加入者と勤務先が折半して保険料を納めるため、
会社員や公務員の給与から天引きされているのは、
本来の半額の保険料です。
一方で自営業やフリーランスは、
保険料を全額自己負担しなければなりません。
そのため家族の人数が多いほど、
保険料の負担が増えていってしまいます。
加えて国民健康保険と健康保険は、
保険料の計算方法も異なります。
国民健康保険料:
前年度の所得や世帯の人数などをもとに計算する
健康保険料:
収入をもとに決まる「標準報酬月額」に所定の料率をかけて計算する
健康保険には、扶養制度があります。
扶養制度とは、加入している人によって生計を維持されている家族を、
被扶養者(扶養家族)にできます。
健康保険の扶養家族は、
保険料を支払うことなく、
加入者本人とほぼ同等の給付を受けられます。
しかし国民健康保険には、
扶養の仕組みが存在しません。
自営業やフリーランスの家族も国民健康保険に加入することはできますが、
加入した人数分だけ保険料を納める必要があります。
健康保険には、以下の傷病手当金や出産手当金の制度があります。
健康保険に加入している会社員や公務員などは、
傷病手当金や出産手当金を受給する権利があるため、
病気やけが、出産などで会社を休んでも一定の収入が保障されています。
しかし自営業やフリーランスは、
病気やケガで仕事ができなくなった場合の収入が、
原則として保障されていないため、
貯蓄や民間の保険商品などで十分に備えなければなりません。
健康保険は、
全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」と、
企業が独自に設立した健康保険組合が運営する「組合けんぽ」
に分かれています。
一部の健康保険組合は、
独自の給付事業である「付加給付」を行っており、
1ヶ月あたりの医療費自己負担が、
高額療養費制度を利用したときよりも少なく済む場合があります。
例えば、
付加給付の自己負担限度額が1ヵ月あたり25,000円の場合、
同じ月の1日から末日までに自己負担した医療費が
高額療養費制度の上限額に達していなくても、
25,000円に達していれば、
超過した金額を払い戻してもらえます。
国民健康保険に加入している自営業やフリーランスは、
付加給付を受けられません。
国民健康保険は、
お住まいの市区町村だけではなく、
所定の国民健康保険組合を通じて加入する方法もあります。
また自営業やフリーランスであっても、
会社員や公務員と同じように健康保険にできる場合があります。
公的医療保険に加入するときは、
ここでご紹介する4つのうち、
ご自身にとって最もメリットのあるものを選ぶことが大切です。
自営業やフリーランスの多くが、
市区町村が運営する国民健康保険に加入します。
市区町村が運営する国民健康保険は、
前年の所得によって決まる「所得割」と、
世帯の人数に応じて決まる「均等割」などをもとに、
保険料を算出するのが一般的です。
ただし、所得割を算出する際の料率や均等割の金額は、
自治体によって異なるだけでなく、
所得割や均等割以外の区分が存在する場合もあります。
国民健康保険組合とは、
医師や薬剤師、税理士、美容師など、
同じ業種や事業に従事している人々で組織されている団体です。
美容師や理容師が加入できる「全日本理美容健康保険組合」や、
文芸や美術などに携わるフリーランスが所属できる「文芸美術国民健康保険組合」
などがあります。
国民健康保険組合によって、保険料の算出方法が異なります。
場合によっては、
市区町村が運営する国民健康保険よりも、
低い保険料負担で公的医療保険に加入できるため、
加入条件を満たしているか確認してみてはいかがでしょうか。
「年収が130万円未満」や「被保険者(健康保険に加入している人)と同一世帯かつ被保険者の年収の1/2」など、
一定の条件を満たしている場合は、
家族が加入する健康保険の被扶養者になるのも選択肢の一つです。
家族が加入している健康保険の被扶養者になると、
ご自身の保険料負担は発生しません。
また、配偶者が加入している
健康保険組合が実施する付加給付を利用できます。
ただし自営業・フリーランスの場合
「総収入額から必要最小限の直接的必要経費を差し引いた額が130万円未満」でなければ、健康保険の扶養家族になれません。
「必要最小限の直接的必要経費」とは、
原材料費や事前に申請して認められた外注工賃など、
売上を上げるために必要とされる最小限の経費です。
税法上の経費とは、定義が異なります。
そのため、ご自身が年収130万円未満だと思っていても、
扶養家族と認められない場合があるのです。
配偶者の扶養に入ろうと考えている方は、
健康保険を運営している団体に、
どこまでが経費として認められるのかを確認しましょう。
会社員から自営業やフリーランスとして独立する場合、
それまで勤務していた会社の健康保険を「任意継続」する方法もあります。
任意継続には、
「家族を扶養に入れられる」「付加給付を受けられる」
などのメリットがあります。
ただし任意継続は、
退職してから20日以内に加入の手続きをしなければなりません。
また任意継続で健康保険に加入できる期間は、最長2年となります。
なお任意継続をしても、
国民健康保険と同様に傷病手当金や出産手当金は受給できません。
勤務先と折半していた保険料は、
任意継続をすると全額自己負担となる点には注意が必要でしょう。
ちなみにスキマレポートに加入いただくと、
健康保険に加入できます。
健康保険を任意継続できなかった方も、
家族を扶養に入れて保険料負担を軽減できる可能性があるため、
気になる方はお気軽にお問い合わせください。
スキマレポートの詳細はこちら
https://sukima-manage.com/wp/sukima-report/
自営業やフリーランスであっても、
会社員とさほど変わらない給付内容の公的医療保険を受けられる場合があります。
また個人事業主が加入できる
公的医療保険にはさまざまな種類があるため、
保険料負担の低いものや保障の手厚いものを
選択することが大切です。
一方で、フリーランスは会社員のように、
傷病手当金や出産手当金を利用できません。
そのため、ご自身の貯蓄や民間の保険会社が取り扱う
生命保険・医療保険などを活用して、
自分自身で備える必要があります。
安心して事業を展開していくためにも、
公的医療保険でカバーできている部分や、
ご自身で備える必要がある部分を、
今一度見直してみてはいかがでしょうか。